信用取引について ~「信用取引」とダブスコショック~

投資

先週は、「ダブスコ・ショック」「日銀の為替介入」があり、目まぐるしい一週間でした。



日銀の金融緩和については、前回書きましたので、こちらをご覧ください↓

『日本政府・日銀ついにやりおったでぇ〜狼少年からの脱却〜』
今回は前回のブログで書いていたように『信用取引』について書こうと思ったのですが、ビッグNEWSが飛び込んできたので、そちらについてかきます。😅先週のドル円も…
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「ダブスコ・ショック」というワードとともに、「信用取引」「追証」「フルレバ」といったワードが飛び交い、ツイッターなどでは「信用取引はしてませんが、これからも絶対にしません」「信用取引、こわっ・・・」など、すっかり『信用取引=悪』という印象がついてしまいました。



私は、「信用取引≠悪』と思っています。



もちろん、高いレバレッジをかけた取引は、ハイリスク・ハイリターンのですが、使い方によっては、信用取引は、ヘッジとして使えたりと便利な面もあります。この使い方については、次回触れたいと思います。





今回は、まずは『信用取引』の概要と、「ダブスコで起こった信用取引について」(信用取引のリスクの側面)知ってほしいと思い書きました。





包丁は、物を切るのにとても便利です。しかし、使い方を間違えれば、凶器にもなりえます。



車は、物を運ぶときや移動手段としてとても便利です。しかし、一歩間違えれば事故を起こしてしまいます。



信用取引も同じと考えます。取引をする上で、リスクコントロールをしながら利用すれば、とても便利なツールですが、使い方を間違えれば「ダブスコ」のように負債を抱えることにもなりえるツールです。



今回の「ダブスコ」の一件は、センセーショナルだったので、このリスクの部分のみがよりクローズアップされてしまいました。







 

「でも、信用取引はね・・・」という人がいると思います。



投資を始める前だと「投資って損することがあるんでしょ?」「リスクがあるんでしょ?」と答えていた人が、投資を始めた後では、多く人が「もっと早く始めていればよかった」「現金だけもつなんて何考えてるのかな」「ほかの人もすればいいのに・・・」という答えになります。



「知らないからこそ恐れる」のだと思います。

まずは、正しく理解することが大事だと思います。

※今回は、時間の関係でリスクの面を中心に書きます。

メリットよりも、リスクを知ることがとても大事です。



※あくまで「信用取引」を正しく(リスクも含めて)知ってほしいというのが目的で、信用取引を勧めているわけではありません。



今回、ダブスコの信用取引で損失を出された人で、このリスクについてあまり知らず(利益追求すりあまり、または、周りの勢いにのっかっただけで、そもそも信用取引自体をあまり理解せず)に取引をされていた人も少なくなかったのではないかと思います。



私が、よく言っているのは同じ決断をして結果が同じでも、「知っていてその決断をくだしたのか」「よく知らずにその決断をくだしたのか」では、内容は全然違うと考えています。



つまり、「食わず嫌いで信用取引をしない」のか、「知っているが信用取引はしない」のかは大きく違うということです。



もちろんリスクがあるため、信用取引を勧めるつもりはありませんが、まずは「信用取引」について、知ってみてください。







『信用取引』とは・・・



証券会社のHPでは

証券会社に一定以上の担保を預け、証券会社から売買に必要な現金や株式を借りて行う取引です。

信用取引では、借入れた現金や株式の価値に、一定の比率をかけた担保が必要です。

多くの証券では、その一定の比率(=委託保証金率)が30%なので、担保の約3.3倍の取引ができます。
そのため、信用取引では現物取引に必要な金額と同金額を担保にすれば、現物取引の約3.3倍の利益を狙うことができます。
その反面、損失が出た場合も約3.3倍となります。

現物取引は「買い」→「売り」のみの取引のため、相場上昇時しか収益機会がありません。
信用取引は「買い」→「売り」だけでなく、「売り」→「買い」ができるため、高く売ってから安く買戻すことができ、相場の下落局面でも収益機会があります。

このように、信用取引には現物取引にはないメリットがありますが、相場の予想が外れた場合、差入れた担保以上の支払いが必要になる危険性があり、現物取引に比べハイリスク・ハイリターンな取引といえます。万が一損失が出ても対処できるように損切ラインを決めておく、資金の余力を残す、余裕資金で取引するなど充分な注意が必要です。

とあります。

簡単にまとめると、証券会社に預けている「現金」と「有価証券(株式・投資信託)は前日終値80%として計算)」の3倍までレバレッジを利かした取引ができる。
※この『現金だけでなく、株式も80%として保証金代わりになる』ということを覚えておいてください。このことが、あと出てきます。



・ レバレッジ(最大約3倍)をかけているため、【ハイリスク・ハイリターン】(な取引も可能)である。



・ 手元にその株式がなくても売る(『カラ売り』)ことができるため、下落局面でも利益が出せる。



ということです。


次に、覚えておく基本的なルールがあります。



証券会社HPでは

委託保証金率=(現金+代用有価証券評価額)/建玉約定代金×100





建玉評価損の拡大または代用有価証券の値下がり等により、大引け後のお客さまの委託保証金率が20%を下回った場合に20%を回復するまで追加保証金を差入れていただきます。
とあります。



委託保証金率(維持費):20%  

委託保証金率が20%を下回ると、追加保証金を入れなければない。

→維持率20%を下回ると、『追証』が発生する。







『追証』が発生すると・・・



証券会社HPでは

追加保証金が発生した場合には、発生日の翌営業日までに、以下(1)、(2)のいずれか(又は組み合わせ)による方法にて解消していただく必要があります。
(1)追加保証金額以上のご入金
(2)信用建玉の全部または一部の反対売買による決済

追加保証金の発生日より起算して3営業日目の正午までに当社にて追加保証金の解消が確認出来ない場合、発生日より起算して建玉強制返済予定日以降に全ての建玉を反対売買による決済をさせていただきます。その際、決済損が発生した場合は、委託保証金現金及び代用有価証券を当社の任意で売却することにより充当させていただきます。さらに不足金が発生する場合には速やかにご入金していただきます。

とあります。



簡単にいうと、株価が下がって、委託保証金がが20%を下回る(追証の発生)と、現金を入金するか、信用建玉を決済するなどして、20%を回復させないとといけない。



もし、20%を回復できないときは、委託保証金として預けている有価証券(株や投資信託)を強制的に売却されてしまう。

それでも、不足金が発生した場合は、証券会社に「お金を入れててね」ということです。

「信用取引」は、証券会社からの借金ですから、負債が生じた分は、もちろん返す義務が生じます。









今回の「ダブスコショック」では、ダブスコを高いレバレッジをかけて信用取引(買い建て)をしていた人は、高値3000円から連続ストップ安で下落した結果、追証が発生し、とくにフルレバ(マックス約3.3倍のレバレッジに限りなく近いレバのこと)をかけていた人は多額の損失を出すことになりました。





今回のダブスコの件で、ツイッターでよく目にするワードの中で、『二階建て(信用)』というのも目にしました。





『二階建て信用』について・・・

証券会社HPでは

『二階建て信用』とは、委託保証金として差し入れている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことをいいます。


当該銘柄の株価が下落すると、信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。
このような状況で、お客様自らの担保処分による売却や、追加保証金の未入金による強制決済が行われた場合、当該銘柄の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。
二階建てのお取引については、十分ご注意ください。

とあります。

現物をもっている銘柄と同じ銘柄を、信用取引枠でも買うといことを「二階建て信用」と呼びます。


ダブルスコープの現物を持っていて、さらに信用枠を使ってダブルスコープを買うことです。(現物でも、信用でもダブルスコープを持っている状態)


もちろん、株価が上がっていくと、現物の利益も増え、信用枠で買った分の利益も増えます。




しかし、もしダブルスコープの株価が下がり、信用枠で買っていた「買い建て玉」よりも下がると、評価損が発生します。

この評価損分だけ委託保証金が低下します。①「信用取引で含み損が出た分委託保証金が減る」



それだけでなく、委託保証金として現物であるダブルスコープも株価が低下してるため、委託保証金として預け入れた②「現物のダブルスコープ自体も株価の下落で、委託保証金が減る」ことになります。



委託保証金が現金だけの場合や他の株を委託保証金としている場合、①のみで済みますが、二階建て信用をしていると、①と②が同時に起こるため、株価の低下により一気に追証につながりやすいため、とてもリスクが高い取引となります。





今回、右肩上がりの「ダブスコ」勢いがすごかったため、最初は現物だけの取引をして利益を得ていた人も、みるみるうちに株価が上がっていく過程の中で、「この勢いに乗り遅れてはだめだ」と現物だけでなく、「二階建て信用」を使って、これまであまり信用取引をしていない人が勢いのまま取引していた人が多かったように感じます。

それが、「信用買い残の多さ」や、ここ最近の「東証売買代金ランキング上位定着」という形にもあらわれていたと思います。

周りの勢いにのってしまい、利益を追求するあまり、信用取引がもつリスクに目がいかなかった人が多かったのだと思います。



しかし、今回の「ダブスコショク」は、「今回のダブルスコープでは、信用取引をあまりしたことがない人が、やって失敗した」というだけではありません。



今回の「ダブスコショック」は、9月15日(木)につけた直近の高値3175円から連続ストップ安を経て、22日(木)に値をつけ、約半値以上の下げた1550円(22日終値)となりました。



この【連続ストップ安】こそが、今回の一番問題となる点です。



本来なら、高いレバをかけて取引していた人は、1回目の下落で、維持率20%を下回って『追証』が発生していたはずです。

この時点では、現金を入金して維持率を20%にしていれば、問題ありません。)



もし20%に戻す現金が入金できなければ、強制的に信用部分の返済売が入りますが行われることになり、損失は出ますが、この時点で退場するだけ済んだのです(しかし、今回は退場したくてもさせてもらえませんでした)。



しかし、最近話題の銘柄で、東証売買代金上位の常連だったダブスコは、信用組も多く、この返済売りが大量に発生した(もちろん、それだけではないと思います。釣り上げからの強烈な落としを狙った仕掛け的な動きもあったと思います。)ため、翌日、さらに次の日も、特売り張りつきの連続ストップ安となり、返済売りが成立しませんでした(売れない状態が続いた)。



22日(木)に値がつくまで、どうすることもできず、負債(この時点はあくまで「評価損」ですが)だけが膨らむこととなったのです。





つまり、本来なら最初の株価下落で、(強制的に)ふるい落とされないといけない人が、連続ストップ安によって(皮肉にも)強制的に下落につきあわされてしまいました。



このことで、損失が膨大な金額になった人もいるでしょう。



22日木曜日に、強制的での信用の返済売が成立したことで、これまでの「評価損」であったのに対して、損失が確定したため、来週はじめに『不足分(金)』が確定します。

そうすると、まずその人が保有する他の有価証券が強制的に売却され、現金化されることになります。



今回の「ダブスコショック」が日経市場に及ぼすこ影響については、こちらをご覧ください↓

『ダブスコショック!』
先週は13日(火)CPI発表後のダウ1000ドル以上の下落が、一番大きなニュースだなぁと思ったのですが、16日(金)に起きたSNSで話題の「ダブル・スコープ」…
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今週は、評価損の数字が増えるのをどうるすこともできずに眺めているだけでしたが、来週からは『不足(金)』を補うために、有価証券の強制的売却が始まり、それでも不足する場合は、証券会社から入金の催促があります。



これまでの、数字だけの動きから、来週初めからからはリアルな現実に直面することになります。



ここで私が言いたいことは、まず「正しく理解して利用ほしい」ということです。

これは、信用取引にかぎったことではありません。



今回の「ダブスコ」を信用買いされて損をした人がいる一方で、まだ下値のときに信用買いを仕込んでいて、高値で売り抜けて多くの利益を得た人や、信用売り(「空売り」)でも儲けた人がいるのも事実です。

これは、信用取引をしっかり理解して取引をしていたからだと思います。



信用取引に限らず、正しく理解しないまま利用すると思わぬ損失を生み出す恐れがあります。



もし、新しいことをする際は、いい面だけに目を向けすぎず、常にリスク面を気にした上で「する・しない」の判断をしてほしいと思います。



23日(金)の終値で、NYダウは年初来安値で引けており、チャート的には、まだまだ下値を掘ろうとする展開が続きそうです。



こんな不安定な相場だからこそ、信用取引のリスクヘッジとして側面が、役に立つのではないかと思います



次回は、信用取引のハイリスク・ハイリターンを狙わず、ヘッジとしての使い方などまた違った面を紹介できればと考えています。



では!👋👋

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